「それから、もう一つ話が」

 絵理はずいぶんと楽しそうだ。
 オレはなんだか嫌な予感がした。

「……何でしょう?」

 おそるおそる訊いてみる。

「朝食が終わったら私に付き合え。街に買い物に行くぞ。車ではなく、電車でだ」

 いたずらっぽい笑顔をオレに向ける。

 ちょっと待て。

 それは、デートのお誘いというやつですか?
 何も知らない振りして実は全て計算尽くデスカ?

 昨日の決意も空しく、すっかり絵理のペースだ。
 ……なんか悔しいぞ、おい。