長船はいつもどおりの淡々とした表情で、布巾を水洗いしに洗面台へ。

 青司は咳が治まると、鳩が豆鉄砲食らったような表情で、立っているオレを見上げた。

 そんな青司に、オレはにやりと笑ってみせる。

「そういう訳だから、嫌なら全力で守ってみろ。他の女と二股なんかする余裕があると思うなよ」

 青司は何か言いたそうな顔をしていたが、オレは言いたいことだけ言って、さっさと出立の準備を始めた。

 さっきまでの苛立ちが嘘のように晴れて、笑い出したくなるほど気分爽快だ。
 青司の心中は穏やかじゃないだろうが、そんなのはオレの知った事か。

 オレはやりたいようにやる。
 抵抗するなら受けて立つ。
 たったそれだけの、シンプルな話。
 必要なのは覚悟だけ。

 青司。お前の覚悟、見せてみろ。