純愛バトラー

「朝食の用意ができたそうですよ。一階の食堂でバイキングとのことです。
 お二人の分の朝食チケットです。どうぞ」

 両手に一枚ずつチケットを持った長船が、いつもどおりの淡々とした口調でオレと青司の間に割って入っていた。

 オレはこれ以上喧嘩を続ける気になれず、青司から手を離し、長船からチケットを受け取った。

 青司は長船に一言礼を言うと、もうオレには何も言わずにそのまま部屋を出て行った。食堂に向かったのだろう。

「長船」

「はい」

「サンキュな」

「いえ。伝言を預かっていたので」

 長船はいつもと変わらぬ態度、いつもと変わらぬ口調でそう言うと、戸締りお願いします、とだけ言い残して食堂へと去っていった。