「だがな、陣よ」

 そう言って、まっすぐ俺を見据える。

「ロマンスというものは自分一人の問題ではない。必ず相手というものがいる。己の感情だけで突っ走っては、また今回のような事が起こるぞ」

 真剣な様子の絵理サマは、なおも言葉を続けた。

「確かに私はそなたの主だが、そこまで面倒は見れぬ。やはり自己処理をするのが一番良いと思う。何、恥ずかしい事ではない。男にとっての生理のようなものなのだろう? その程度の知識と理解はあるつもりだ」

「……あの、絵理サマ?」

「なに、具体的な方法は解らぬが、後で私の方でも調べておく。そなたは大船に乗ったつもりで、安心しているが良い」

 そうにっこり笑うと、力強くオレの背中をぽんと叩いた。