僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「軽く金持ちですから」

「マジで!? 見えない! 全く見えない! むしろ不良に見えるよねっ」


……それはあたしも思ってた。


だから本当は最初怖かったんだけど、凪も彗もふつうに接してるし、そんなに怖くない人なのかなって思い直してる。


まだちょっと怖いのも本当だけど……。


祠稀の口元には黄色くなったアザがあったから、喧嘩とかするのかなって。


「ていうか不良でしょ? 白状しろ!」


凪が言うと、祠稀はそのアザをさすりながら悪戯に笑う。


「不良とかのつもりはねぇけど。やたら絡まれたりはするわな。まあ喧嘩、負けたことねぇよ?」


やっぱり喧嘩するんだ……!


でも絡まれるなら、祠稀が悪いってわけじゃないのかな?


「……守ってくれんの? ありがとう」


ひとり考えていると、突然祠稀に感謝するような微笑みを見せた彗に面食らう。


「はぁ!? 何からだよ! つか何、お前かわいいな!」

「……何が?」

「もう彗ってホント掴めねぇ……」


祠稀と彗の会話に、あたしと凪は声を出して笑った。