「軽く金持ちですから」
「マジで!? 見えない! 全く見えない! むしろ不良に見えるよねっ」
……それはあたしも思ってた。
だから本当は最初怖かったんだけど、凪も彗もふつうに接してるし、そんなに怖くない人なのかなって思い直してる。
まだちょっと怖いのも本当だけど……。
祠稀の口元には黄色くなったアザがあったから、喧嘩とかするのかなって。
「ていうか不良でしょ? 白状しろ!」
凪が言うと、祠稀はそのアザをさすりながら悪戯に笑う。
「不良とかのつもりはねぇけど。やたら絡まれたりはするわな。まあ喧嘩、負けたことねぇよ?」
やっぱり喧嘩するんだ……!
でも絡まれるなら、祠稀が悪いってわけじゃないのかな?
「……守ってくれんの? ありがとう」
ひとり考えていると、突然祠稀に感謝するような微笑みを見せた彗に面食らう。
「はぁ!? 何からだよ! つか何、お前かわいいな!」
「……何が?」
「もう彗ってホント掴めねぇ……」
祠稀と彗の会話に、あたしと凪は声を出して笑った。



