「おーっし! 行くぞっ」
「楽しみだねーっ」
「……観覧車」
私服に着替え、玄関を飛び出して行く3人に呆れながらも笑って、鍵を閉めた。
他愛もない話をしながらマンションを出て、駅に向かう。
「はん!? 彗、絶叫系苦手なのかよ!」
「……どこが楽しいのか分かんない」
「あたしは好きだよ?」
盛り上がる3人の1歩後ろを歩きながら、携帯を開く。笑ってる3人を撮りたくて、カメラを起動させた。
無防備な3人が画面いっぱいに映って、頬を緩ませながら新規メールを作成する。
何回かボタンを押してメールを送信すると、「凪っ」と祠稀の声。
顔を上げると、3メートルほど先に立ち止まるみんなの姿。
「ちんたら歩いてんじゃねーよ!」
「電車来ちゃうよーっ」
「はーやーくー」
きゅっ胸が締め付けられて、走り出す合図のように携帯を閉じた。



