僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「彗がね! いい子なの!」

「凪の髪、いい匂い」

「……はぁ、そうですか。相撲でもとってんのかと思ったわ」


失礼だな!


「あ、ふたりともおはよう!」


有須がリビングに戻ってきて、祠稀と彗がおはようと返す。


「あー腹減った。飯っ、の前にココアー」

「……珈琲」

「仕方ないから淹れてあげるよ」

「あはは! もう習慣だよね」


朝食の前にココア、ね。彗は基本的に珈琲だけど、いつの間にか習慣になった。


朝食を食べる前にリビングで輪になって、色違いのマグカップをそれぞれ持ちながらのんびり過ごす。


会話があったりなかったり。


穏やかに流れる時間は、まるで新しい朝を迎えられた当たり前の幸せに、浸るみたいな時間だった。