「……もうちょっと」
うんいいよ。なんて言わないから!
「ダメです」
「……鬼」
「なんだって?」
そんなチワワみたいな顔しても、ダメなもんはダメなんだからね!
ハァーと長い溜め息をついて、彗の頭を撫でて立ち上がる。
「珈琲淹れてあげるから」
ドアに向かいながら言うと、後ろからベッドの軋む音。
振り向けばベッドから降りる彗と目が合った。
「……凪の珈琲、好き」
まだ眠そうな声で微笑む彗に、愛しさが急速に込み上げる。
「いい子ー!!」
抱き付くあたしをそのままに部屋を出た彗は、あたしの髪に顔を埋める。
「……何やってんのお前ら」
彗の胸から顔を離すと、残念なものでも見るような目付きであたしたちを見つめる祠稀がいた。



