僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「祠稀って分かりづらいよね」

「はぁ?」


オートロックを開けている祠稀に空き缶を差し出す。


「心配してくれてどうもありがとう」


眉を寄せて空き缶を受け取る祠稀に、微笑む。


「遅くなってごめんね?」


だから、けろっとして帰ってきたあたしを見て、不機嫌になったんでしょう?


「俺が心配したのは、凪が煙草を買ってこれるかってことだけだっつーの」


ばつが悪そうに視線を逸らす祠稀。


おかしくて、嬉しくて笑ったあたしに祠稀は悔しそうに口を開く。


「調子のんなっ」

「ふっ、照れちゃってぇ〜」

「っけんなココアバカ!」

「はぁ!? ココアをバカにすんな!」

「お前をバカにしてんだよ!」


やっぱりムカつく!


「メールくらい返せボケが」


一発殴ってやろうと握った拳は呆気なく力をなくし、ぽすっ、と情けないパンチを祠稀の背中にお見舞いしてしまった。