「ていうか、千円じゃ多いよ」
「細かいな! 別にいいって」
200円ちょっと多いだけじゃない。いや200円は大事だけど。
「煙草、買えただけで有り難いから。頼まれてたんだ」
「自分のじゃなかったの?」
「牛乳買うついでに頼まれたの」
「ふぅん」
聞いといて興味なさげに相槌を打つ男の子は、フーッと紫煙を吐き出す。
なんか、祠稀を見てる気分。
「ってだから! はいっ!」
「せっかちだね」
男の子は「煙草ぐらいゆっくり吸わせてよ」って言いながら、千円札を受け取った。
白い手の爪は黒く塗られていて、ゴツい指輪がいくつかはめられていた。それが余計に祠稀とかぶる。
「ねぇ、クマ好き?」
「は?」
あたしと同じくらいの身長の男の子に、首を傾げる。
「まあ……好きだけど?」
「じゃあ、はい。あげるよ」
男の子がパーカーのポケットから取り出したのは、ハートを持った小さな茶色いテディベア。
かわいい。素直にそう思った。



