――大雅先輩。
あたし、大雅先輩とデートしたこと一生忘れない。
あの日の大雅先輩の笑顔は、やっぱりどうしても嘘だったとは思えないから。
憧れてた。
まだ、あまり互いを知らない男女がふたりきりで並んで歩く。
近すぎず、遠すぎず。微妙な距離を保ちながら、少し、ぎこちなく話す。
会話が途切れないように一生懸命頭を働かせて、時には出だしがかぶったり。
そんなことが何回かあるうちに打ち解けてきて、笑顔で話すの。
そんな、子供みたいなことに憧れていた。いつかそんな日が来ればいいなと望んでいた。
それを誰よりも先に叶えてくれたのは、紛れもなく大雅先輩だったから。
かわいいいって言ってくれて嬉しかった。優しくしてくれて嬉しかった。
それが全部嘘だったと、あたしには言えない。言いたくもない。



