「大雅先輩……」
オレンジ色の髪をした人の隣で、きっと両手をポケットに入れて歩いてる。
あれは間違いなく、大雅先輩。
どうして家を知ってるのか。
どうして家に来たのか。
どうして箱だけ置いていったのか。
知りたいことが山ほどある。
「……っ」
涙で滲む視界の中からふたりの影はあっさりと消え、あたしは箱を抱き締めたまま塀にうなだれた。
快晴だった空は朱色に染まっていて、生暖かいそよ風が髪を揺らす。
小鳥の囀りと、木々がそよぐ音。近くの公園でハシャぐ子供たちの声。
平々凡々な、そこら中幸せの音がするセカイ。
そんな中で泣いてるあたしは、きっとおかしい。
自分の世界がこんなに綺麗だったことに、泣くなんて。



