……別に甘えてるわけじゃないんだ。
今までずっと、有須は不安定だったと思うから。俺はそう感じていたから。
消え入りそうな有須を、脆く儚げな有須を、留めておきたくて。
目に入る、手で触れられるほど、近くにいてほしくて。
「……起きたら、いる?」
俺の質問に、有須は目をしばたたく。
これじゃあ本当に甘えん坊だと思われる。だけど、聞いてみたかった。
「うん。いるよ」
笑った顔が見たかった。
きゅっ、と。有須の手を握り締めてから目を瞑った。
「……おやすみ、彗」
「……ん」
真っ暗な世界に優しく響く声は、何よりも安心する。
繋がれた手から感じる体温も、鼓動も、体を温かくする。
安心、よりも、愛しい。
この気持ちは何か、違う。
この気持ちは、なんだろう。
考えているうちに俺は眠りに落ちた。
心地よく、とても穏やかに。
.



