「大雅が大きくなるにつれて、親父は大雅を愛さなくなった。かわいいがったんは……5歳くらいまでやな」
それは、大雅を愛す人はいなくなったと言うことで、遊志の家にいることは許されても、大雅はひとりぼっちだということだった。
家庭をかえりみない父親とヒステリックな母親を持つこととなった遊志は、自然に大雅を求めるようになった。
それは大雅も同じで……。
「物心ついた時からずっと一緒におった。俺は大雅しか大事やなくて、大雅も、俺を必要としてくれてたんや」
だけど大雅には、大きな溝があった。心の奥底に潜む、深い深い闇。
「祠稀くんが言うたこと、分かるで? ……どんな境遇でも、グレへんやつはグレへんもんな。だけど大雅は、そないに強くないねん」
すごく、優しいから。
そう呟いた遊志の言葉はとても重くて、信じる信じないの前に、あたしは彗を思い出していた。



