僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……謝んなくていいよ?」

「まあそれが有須じゃん?」

「てかさ、祠稀のカーディガン湿ってて気持ち悪い」

「ああ!? 貸してやっただけ有り難いと思え!」

「……」


凪と祠稀の言い争いが始まって、彗はめんどくさそうにそれを眺めている。普段と変わらない光景に、あたしは戸惑ってしまった。


「だいたい来るのおっそいのよ!」

「ヒーローは遅れて登場するもんだろーがっ!」

「はぁ!? ビックリなんですけど何それ! 彗のほうがよっぽどヒーローだったから!」

「そうだ彗だよ! お前何者!?」

「……風呂入りたい」

「なんっでお前はそうなんだよ!」

「やっ、やめなよ! 喧嘩しちゃダメ!」


ヒートアップしそうな言い争いに慌てて止めに入ると、3人の視線を一気に浴びることになった。


ドクンと鼓動が波打って、生唾を飲み込む。


あたし……何言って……!