僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「なあなあ、彗って何者?」

「ちょ、空気読めっ……!」


ボソボソと話す声に顔を上げると、凪と祠稀が向かい合って話していた。


「あ、祠稀……来てたの?」


彗があたしから少し離れて、祠稀を見上げる。その数秒の間に自分の状況を理解して、彗から勢いよく離れた。


「……」

「あ、いや、その……っ」


彗が眉を下げて振り返ったから、あたしは慌てて何か言おうとしたけど、言葉に詰まってしまった。


「ほらぁー! 祠稀が空気読まないから! ボケ!」

「あぁ!? 俺のせいかよ! 別にイチャこきたきゃ続行しろよっ!」


祠稀の言葉に一瞬で顔に熱が集まる。


イチャッ、イチャこいてない!


そう言いたいけれど、口はパクパク動くだけで機能しない。


「祠稀……痛そう」

「! っ祠稀……ゴメン! 大丈夫!?」


あたしのせいで祠稀が暴行されたことを思い出し、謝ったけれど、本人はきょとんとしている。


「何が?」


何がって……顔、傷だらけじゃない……。