「なあなあ、彗って何者?」
「ちょ、空気読めっ……!」
ボソボソと話す声に顔を上げると、凪と祠稀が向かい合って話していた。
「あ、祠稀……来てたの?」
彗があたしから少し離れて、祠稀を見上げる。その数秒の間に自分の状況を理解して、彗から勢いよく離れた。
「……」
「あ、いや、その……っ」
彗が眉を下げて振り返ったから、あたしは慌てて何か言おうとしたけど、言葉に詰まってしまった。
「ほらぁー! 祠稀が空気読まないから! ボケ!」
「あぁ!? 俺のせいかよ! 別にイチャこきたきゃ続行しろよっ!」
祠稀の言葉に一瞬で顔に熱が集まる。
イチャッ、イチャこいてない!
そう言いたいけれど、口はパクパク動くだけで機能しない。
「祠稀……痛そう」
「! っ祠稀……ゴメン! 大丈夫!?」
あたしのせいで祠稀が暴行されたことを思い出し、謝ったけれど、本人はきょとんとしている。
「何が?」
何がって……顔、傷だらけじゃない……。



