嫌われないように、苛立たせないように、またひとりにならないように。近過ぎず、遠過ぎず。
またひとりになった時、傷つかないように。そうやって自分を守っていた。
幸せになりたいと言って、あたしは怯えていたんだ。
孤独を知っていたから、またひとりになるのは怖くて。
みんなに頼ろうとしたって、結局はできなくて。
彗のカーディガンだって素直に受け取れなくて。
あたしにそんな権利も価値もないと思ってた。
……幸せになれないんじゃない。
幸せが目の前にあるのに、ためらって、失う怖さに怯えて。寸前で手を止めたのは他の誰でもなく、あたしだ。
「……っ……ひっく」
恐る恐る彗の背中に手を回すと、強く抱き返してくれて、また涙が溢れた。
守られた、この腕に。
助けられた、この腕に。
あたしにはまだ、そんな存在になれる未来があったと思っても、いいのかな。
あたしは……。
有須で在って、いいのかな。



