「……ごめん、カーデ……濡れてるけど」
彗は自分のカーディガンに手をかけ、2つ目のボタンを外した時、ハッとした。
「いっ、いいよ! 大丈夫、平気だから!」
「……うん」
そう言いながら彗は最後までボタンを外して、あたしにカーディガンを差し出してきた。濡れてる、ミルクベージュ色のカーディガン。
「……大丈夫。本当に、大丈夫だから」
ここまできて受け取れないのはどうしてだろう。
拒否するあたしを彗は真っ直ぐ見つめていて、目が合うと微笑んでくれる。
受け取ればいい。受け取って、ありがとう、そう言えばいい。
「……っ」
彗はあたしの肩にカーディガンをかけて、着させようとする。
「……彗っ、大丈夫だから……!」
そう言ったって彗はやめてくれない。あたしの手が、体が、今さらながらに震え始めたせいかもしれない。



