僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……ごめん、カーデ……濡れてるけど」


彗は自分のカーディガンに手をかけ、2つ目のボタンを外した時、ハッとした。


「いっ、いいよ! 大丈夫、平気だから!」

「……うん」


そう言いながら彗は最後までボタンを外して、あたしにカーディガンを差し出してきた。濡れてる、ミルクベージュ色のカーディガン。


「……大丈夫。本当に、大丈夫だから」


ここまできて受け取れないのはどうしてだろう。


拒否するあたしを彗は真っ直ぐ見つめていて、目が合うと微笑んでくれる。


受け取ればいい。受け取って、ありがとう、そう言えばいい。


「……っ」


彗はあたしの肩にカーディガンをかけて、着させようとする。


「……彗っ、大丈夫だから……!」


そう言ったって彗はやめてくれない。あたしの手が、体が、今さらながらに震え始めたせいかもしれない。