「っ彗……!」
立ち上がり彗に拳を振るった大雅先輩は、すぐに地面に膝を付いた。
「ゲホッ……クソ…」
普段の彗からは考えれない強さに驚いていると、彗は横たわった大雅先輩に見向きもせず、あたしに向かってくる。
前がはだけているのに気付き、慌てて膝を曲げて上半身を隠した。
見られた……?
不安げに見上げると、彗は微笑んでくれた。少しだけ悲しみを含んだそれに、あたしの口は勝手に動く。
「……す、い」
「……うん」
「……彗」
「……うん」
助けに、来てくれたの?
彗はあたしの後ろに回って、両手を縛るネクタイを解いてくれた。
再び目の前に戻ってきた彗はやっぱり悲しそうで、胸が締め付けられる。
「……遅くなって、ごめんね」
涙が溢れて、あたしは首を左右に振った。



