僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「っ彗……!」


立ち上がり彗に拳を振るった大雅先輩は、すぐに地面に膝を付いた。


「ゲホッ……クソ…」


普段の彗からは考えれない強さに驚いていると、彗は横たわった大雅先輩に見向きもせず、あたしに向かってくる。


前がはだけているのに気付き、慌てて膝を曲げて上半身を隠した。


見られた……?


不安げに見上げると、彗は微笑んでくれた。少しだけ悲しみを含んだそれに、あたしの口は勝手に動く。


「……す、い」

「……うん」

「……彗」

「……うん」


助けに、来てくれたの?


彗はあたしの後ろに回って、両手を縛るネクタイを解いてくれた。


再び目の前に戻ってきた彗はやっぱり悲しそうで、胸が締め付けられる。


「……遅くなって、ごめんね」


涙が溢れて、あたしは首を左右に振った。