「なんだ……泣かないの?」
「離せっつーの! 触んなクソが!」
「イテッ! このアマ!」
大雅先輩がつまらなそうにしている後ろで、凪が騒いでる声が聞こえる。
「大雅! あたしの相手しろっつーの! 有須に触んな!」
あたしに覆い被さる大雅先輩は溜め息をついただけで、振り向こうとはしない。あたしは横を向いて、早く気付いてくれることを祈った。
「ねぇ、有須」
首筋に冷たい手が触れて、そのまま下がっていく手を感じながら、横目で大雅先輩を見る。
「痛かったら……」
大雅先輩は目を見開き、下がっていた手はあたしの腹部で止まり、そこを凝視していた。
それを確認して、あたしは大雅先輩から視線を逸らす。
汚いでしょう? あたしの……。
―――ガンッ!!
「なんだ!?」
突然破壊されたドアの奥に立っていた人物に、あたしは目を疑った。



