僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「いいから有須……っ」


黙ってて。

そう、凪が言いたいのが分かる。


分かってるの。
分かってる。

あたしが黙っていれば、泣き喚かなければ、安全だってことくらい。


だけどできないの。凪に守られることが嫌なんじゃない。嬉しい。だけど、凪の守り方が余りにも悲しくて、つらい。


あたしはそんな凪を、守りたいの。


「最低だよ大雅先輩っ! 最低!」

「有須っ!」


止まらない。
止まれない。


自分の体を投げ出さなければならないのは、凪じゃなくてあたしだ。


あたしは何もかも手放した。過去の自分を、愛してくれた両親を。生まれ育った街にある思い出を。全て全て、置いていった。


ここにいる今のあたしに、凪たち以外に大事にするものなんて、ない。