◆Side:有須
「うるせぇっての!」
バチンッと乾いた音が脳内に響く。
「有須……っ。ちょっと! 何してんのよアンタ!」
ふたりの男に押さえつけられながら凪が叫ぶ。
「凪に触らないで!」
凪に馬乗りになる大雅先輩を睨む。涙でよく見えないけれど、必死に睨んだ。
「凪は関係ないじゃない!」
震える声で、あたしはずっと叫んでいた。
凪が微笑んで、大雅先輩がワイシャツに手を伸ばして、ボタンが弾け飛んだ時。ジッとしてることなんて、できなかった。
「やめてよ! もうやめてっ…!」
ぼたぼた涙を流しながら叫ぶしかできないあたしは、どれだけ滑稽だろう。
それでも、あたしはこうすることしかできないんだ。



