僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「走ってきた様子もないし、ね?」

「帰れ、チカ」


睨む俺と目が合ったチカはビクリと体を揺らしたが、すぐに微笑んだ。


怖くないよ。そう言ってる微笑みではなく、祠稀だ。そう、喜んでる微笑み。


「帰るよ。僕の用は済んだし」

「……」

「祠稀。僕ね、祠稀がいれば何も怖くない」


怖くないんだ。俯いてそう呟くチカに、俺は傘を差し出した。


チカは少し驚いてから目を細めると、傘を受け取る。


「……祠稀。僕等は、……ううん、まあ頑張ってよ。オトモダチの救出」

「いーから早く帰れっ」


悪戯に笑うチカに蹴りを入れると、チカは笑いながら傘を高く高く上げた。