「強がるのやめたら? そんなに煽って……後悔するよ?」
何に? あたしの体が、汚れてしまうことに? だいたい汚れるって何?
思わず鼻で笑ってしまいそうになるのを堪えながら、口の端を上げる。
「やっぱり先輩って、ヘタレなんだ?」
そう言ったと同時に肩を掴まれた。
「凪っ……やめて! 大雅先輩っ!」
無駄だよ有須。この男、プライドだけは高いみたいだから。
「黙ってなよ有須」
ほらね、笑顔を消してる。あたしが口にできない『やめて』を代わりに言ってくれて助かったよ。
ちらりと有須へ視線を移すと、涙に濡れた大きな瞳であたしを見ていた。
……大丈夫だよ有須。
ごめんね、ちょっと嫌なもん見せるけど。
少しのあいだだけ、我慢してね。
「お前ら、手足抑えてろ」
すぐ、終わるから。
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