◆Side:凪
「……ドア閉めろ」
そう大雅が呟いてから数秒もしないうちに、古びた体育倉庫のドアが閉まった。
先ほどまで聞こえていた豪雨の音は海鳴りのように変わり、チカチカと点いたり消えたりする電球が目障りだ。
ここが密室だと、分かりたくもないのに分かる。
ていうか、いい加減離してくれない?
そんな意味を込めて大雅の手を荒々しく振り払う。
「……怖くなった?」
怖くて振り払ったんじゃないし。自信過剰な男だな。
あたしは後ろにあった跳び箱に背中を預け、大雅と4人の仲間を見据える。そのまま首を傾げて、微笑んだ。
「早く。……今さら怖気づいたの?」
僅かにスカートを捲ると、覗く生足に大雅以外の男が生唾を飲んだのが分かる。
……有須には手は出させない。そんな暇すら、与えてなんかやらない。
期待通りに大雅が1歩、近づいてきた。



