僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「有須が俺のモノになるなら、凪ちゃんは無事に帰そうと思ってたんだよ?」


……ああ。


「でも、交渉決裂みたいだし……有須の前で、凪ちゃんを傷つけることにするね」


この人はなんて、惨い人。


「今さら泣いたってダメだよ?」


腹が立つとか、怖いとか。そんなものよりもあたしは、この人を見てると悲しい。あたしをいじめていた人と被る。


「凪ちゃんも祠稀くんも彗くんも、有須のせいで傷つくんだよ。……なんて、俺が気に入らないだけなんだけどね」


気に入らない。なんとなく、嫌いだから。そんな理由で、どうして人は人を傷付けるの?


「入学してきた時から気に入らなかったんだ。幸せですって、4人の友情は永遠です、なんて顔しちゃってさ……壊したくなるでしょ?」


そんなことして、何になるの?


壊れたら満足? 人を傷つけて、楽しい?


何が残るの? 優越感? 幸福感?


分からないから、悲しい。理由なんて、意味なんてないことが分かってるから。悲しい――…。