「……じゃあま、解散ってことで。助かった」
「うぃーす」
「またなんかあったら言ってくださいねーっ」
返事の代わりに微笑み、煙草を口に持ってくと、チカが俺を恨めしげに見ている。
「んだよ、解散だっつーの」
フーッとわざとらしく紫煙を吐き出すと、チカは不機嫌そうに顔を背ける。
「祠稀のボケ。ハーゲ」
「殴るぞ。俺は忙しいんだよ」
ムスッとするチカに少し笑うと、気付いたチカは俺に近付いてきた。
伏し目がちに顔を近付けてきたチカの唇に、吸いかけの煙草をくわえさせる。
「……やるから帰んな」
伏せていた目で俺を見上げたチカは煙草に手を添え、煙を俺の顔に吐き出した。
「イッテェ! 目に入ったろーが!」
「ふんっ! じゃーね、やられないでよっ」
「誰に言ってんだテメェ!」
クッソ……! アイツ、目いっぱい吸って勢いよく吐き出しやがった!
痛む右目を擦りながらチカの背中を見送り、屋根の下から空を見上げる。
建物と建物の隙間から覗く空は、相変わらず白い糸のようで、槍にも見える雨を降らせていた。



