◆Side:祠稀
「――祠稀。もういいの? 終わり?」
「ああ、もう充分。サンキューな」
数枚の用紙を、パーカーのフードを被った男の胸に押し付けた。
キンッとジッポの音が路地裏に響く。雨脚は、強まるばかり。
「俺らも行きましょうか?」
紫煙を吐き出す俺の周りには数十人の、仲間。俺は灰を地面に落として笑う。
「いいよ。俺だけで」
「えー。つまんないっすよー」
「お前ら来たって、見つかったら教師に追い出されんべや」
ブーイングに苦笑してるとフードを被った男、壱佳(いちか)が口を尖らせた。
「別にいいじゃん。混ぜてよ」
「黙れチカ。俺がだめって言ったらだめだ」
「祠稀ばっかずるい」
ずるいってなんだ。
ダメなんだよ。俺もだけど、チカやお前らの居場所は、凪たちとは違うんだ。
光在るはずの場所で、また嫌な人間を目の当たりにはしたくないだろ。



