僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「祠稀は荷物いつ送ってくんの?」


最後の同居人は会ってからのお楽しみということで、凪は話題を変えた。


そういえば祠稀が持ってきたのは小さめのボストンバックだけだった。


「送らねぇよ。全部こっちでそろえるから」


さらりと言った祠稀に、凪は目を白黒させる。


「全部!? 本気!?」

「……お金あるの?」

「あるある」

「あるって」

「いやそういう問題じゃないよね!? 何万かかると思ってんの!?」


凪は空っぽの部屋を想像して、きっと必要なものを考えてる。


まあ……全部買うってなると、ベッドに布団にカーテン…テーブルとか棚とか色々あるもんね。


祠稀はお洒落っぽいし、部屋も手を抜かなそうなイメージ。