僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



カーディガンのポケットから携帯を取り出し、凪の携帯に発信する。


耳に当てることなく画面を見つめても、表示されるのはずっと呼び出し中の文字だけ。


携帯をしまい、誰もいない教室に入る。


俺が凪と分かれて教室に戻った時には帰りのホームルームは終わっていて、クラスメイトが帰る時だった。


凪のカバンはある。有須のもあるのに、いったいどこに……。


「――!」


微振動が伝わり、携帯を取り出す。


「…有須」


姿が見えなかったからホッとして、受話ボタンを押して携帯を耳に当てた。


「もしもし……有須?」


サー…と機械音しか聞こえず、首を傾げてもう一度名前を呼ぼうとした時。


『……す、い……』


弱々しい、有須の声が耳に響いた。