「有須はどうしたの? いじめられてたって気付いたのに、俺を先に呼び出しちゃったの?」
「……香織ちゃんと朝希ちゃんに、何がなんでも止めさせろって言ったけど」
先生とか呼んでもいいからって、ふたりで止めてって、あたしは言った。
有須がバレー部の2年にいじめられてる。大雅先輩に片思いしてる先輩が、有須を妬んでるって聞いたあたしは、すぐに大雅の仕業だと気付いた。
「だから、マヌケだって言ってるのに」
「は?」
「この豪雨で、部活は中止だよ?」
「でしょうね」
「俺より先に、有須のところに行けばよかったのにね」
ニヤニヤと気持ち悪い。アンタの考えてること、なんとなく察しがつくよ。
「……今度は有須を拉致でもしたって? とことん気色悪い奴だね」
ほら、図星でしょ。噤んだ口が、そう言ってる。
「……なんだ。予想して俺のこと呼び出したんだ?」
まさかほんとに拉致ってるとは思わなかったけど……あたしを、その場所に連れて行ってもらう。
「……違う。アンタに負ける気がしないから、有須よりアンタを呼び出したの」
苛立ちを隠せなかった大雅に、あたしは心の中で笑った。



