僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「有須はどうしたの? いじめられてたって気付いたのに、俺を先に呼び出しちゃったの?」

「……香織ちゃんと朝希ちゃんに、何がなんでも止めさせろって言ったけど」


先生とか呼んでもいいからって、ふたりで止めてって、あたしは言った。


有須がバレー部の2年にいじめられてる。大雅先輩に片思いしてる先輩が、有須を妬んでるって聞いたあたしは、すぐに大雅の仕業だと気付いた。


「だから、マヌケだって言ってるのに」

「は?」

「この豪雨で、部活は中止だよ?」

「でしょうね」

「俺より先に、有須のところに行けばよかったのにね」


ニヤニヤと気持ち悪い。アンタの考えてること、なんとなく察しがつくよ。


「……今度は有須を拉致でもしたって? とことん気色悪い奴だね」


ほら、図星でしょ。噤んだ口が、そう言ってる。


「……なんだ。予想して俺のこと呼び出したんだ?」


まさかほんとに拉致ってるとは思わなかったけど……あたしを、その場所に連れて行ってもらう。


「……違う。アンタに負ける気がしないから、有須よりアンタを呼び出したの」


苛立ちを隠せなかった大雅に、あたしは心の中で笑った。