「やっと気付いたの? くくっ……つまんないなんて、俺の台詞だよ」
よりいっそう眉根を寄せたあたしの肩を大雅は押し退け、完全に上半身を起こす。
あたしは高まった密着感に嫌悪し、大雅の胸倉から手を放して立ち上がる。
「志帆のいじめがエスカレートでもして……そうだな……香織ちゃんあたりが助けを求めてきた?」
地面に胡座をかいたままあたしを見上げてくる大雅はくつくつと笑声を絶やさない。
蹴飛ばしてもいいだろうか。
「図星だよね? ……ほんと、いつまでも気付かないマヌケな子ばっか」
俺だけが、有須を脅してるとでも思ってた? ……そんな、含み笑い。
「……アンタ、有須のこと好きなんかじゃないでしょ」
「……やだなぁ……俺がいつ、有須を好きって言ったの?」
ギリッと奥歯を噛み締めると、大雅は立ち上がり、濡れた髪を掻き上げた。
「ただの暇つぶしだよ」
雨に濡れた髪は水を滴らせ、視界にはあたしの赤い髪がチラつく。
血まみれに、してやりたい。



