「ね、どうかした……?」
情けない足取りで近付くと、香織ちゃんと朝希ちゃんは驚いたように顔を見合わせる。
うっ……! やっぱ勘違いだった!
「ごめん! なんか用かなって気がしただけでっ! 勘違いならいいんだ、うんっ」
恥ずかしくなり立ち去ろうとした瞬間、同時にふたりの手で腕を掴まれた。
「えと、勘違いじゃ……」
なかった? そう聞くより先に、あたしは小刻みに震える手に目を奪われる。ふたりとも俯いたままだ。
「……どうかしたの?」
ザワザワと、嵐の前触れのように心がざわつき始める。それに掻き消されそうなほど小さな声に、耳を疑った。
「誰を……?」
香織ちゃんはゆっくり顔を上げて、涙が浮かぶ瞳にあたしを捉えた。
「……有須を……助けて…っ」
曇っていた空が、いつの間にか重苦しさを含み始めた夕刻。
まるであたしの頭に雷が落ちたと思うほど、
空が、激しく鳴いた。



