僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「何回か電話してたら、やっぱり下見なくてもいいですかって言われたんだよねっ」

「あ? 結局そいつに決まったって話?」

「……?」


俺も祠稀も意味が分からずにいると、凪は楽しそうに声を弾ませた。


「あたしが大丈夫だって思ったのと同じように、向こうも電話でそう思ってくれたってこと」

「「……ああ」」


そういうこと、か。


凪と会話して安心したのか、それとも何か別の理由でもあるのか……。


考えたりもしたけど、結局俺は凪を信じてしまう。


「あたしは電話してるから知ってるけど、きっとふたりもその子のこと気に入るよ」


得意げに笑う凪はやけに大人っぽくて、自信に満ちていた。