楽しみではなく、唯一の救いが“食べること”だった。
お母さんの手料理が好きで、おいしそうに食べるあたしを好きだと言ってくれるお父さんが好きで。
……両親も、救いだった。
だから、止められなかった。食べてる間だけは、何もかも忘れられて、幸福だったから。
けれど、明らかに過食したと気付いた後は後悔に苛まれた。
また、食べ過ぎた。
今より、太ってしまう。
さらに、醜くなってしまう。
もっといじめられる、嫌われる。
でも、止められない。
グルグルと渦巻く後悔は、あたしにひとつの決断をさせた。
吐 ケ バ イ イ ン ダ。
……吐いた。
食べ終わった後すぐトイレに駆け込んで、先ほどまで幸せな気持ちで食べていたものを、全て吐いた。
後悔は吐き出され、水に流れ、不安は消えていった。
いつしかあたしは食べることと吐くことを、ひとつのものにしていたんだ。



