「飲みたくねぇか?」
「……」
テーブルにペットボトルを置くと、有須は俯きがちに首を左右に振る。
「待って、マグカップに入れてやっから」
返事を聞かずに有須のマグカップを洗って、布巾で拭く。
その間に目に入ったものこそ、有須の秘密だろうと思った。
「……」
流し台には、たくさんの皿。後ろの冷蔵庫の横にあるゴミ箱には、たくさんの空になった菓子袋。
眉を寄せてしまいそうになるのを堪え、マグカップを有須の目の前に置き、水を注いだ。
有須の頭をひと撫でしてから「煙草取ってくる」と告げ、自室へ向かう。
……なんて言えばいいんだよ。
自室で煙草を1本取り出して火を点ける。そのまま部屋を出て、マグカップの水を飲んでる有須の横顔を見つめた。
小さい小さい、細い体。
……有須。
お前はその小さな体に、どんな傷を背負ってるんだ。



