「……」
なんとなく、ホントに理由はなく、ドアを少しだけ開けてリビングを覗いた。
誰もいねぇじゃん……。
こそこそと隙間から覗く自分が気色悪いと感じ、ドアを押し開ける。
リビングに1歩足を踏み入れてから、ダイニングテーブルにマグカップが置いてあることに気付いた。
少し、甘い香りが漂う。
……凪か。
カーテンが閉められ、光が灯されてないリビングには暗影が広がり、その中で俺はキッチンに足を進める。
キッチンの電気だけつけ、冷蔵庫からココアを取り出そうとした時、廊下から物音が聞こえた。そして、目に止まったもの。
「……」
俺の胸は言いようのない不安と、急速な焦りに支配される。



