僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「後悔するといいよ」


リストバンドを外した俺の左手首に注がれていた視線が、有須を見つめる俺に注がれた。

ゆっくり、大雅を見据える。


「……アナタは、相手を間違った」


俺を怒らせた。凪と祠稀も、怒らせた。


……それがどういうことか、分からないでしょ。


「ははっ、何、それ。まさか俺に勝つ気でいるの? 勝てると、思うの?」

「……かわいそうな人」


笑顔を絶やさなかった顔が、一瞬強張る。


「どういう意味?」


すぐに笑顔に戻ったけど、きっとムカついてる。俺は視線を逸らし、リストバンドをズボンのポケットに入れた。


「……そのままの意味」


踵を返して立ち去る間際、大雅はぽつりと呟いた。


「さよなら。マヌケな王子様」


振り向くと大雅は逆方向に歩き出していた。その背中を睨んで、下にいる有須を見る。



不安げな顔に微笑んで、ジェスチャーで外で待ってると伝える。


小さく頷いた有須を、抱き締めてあげたいと思った。


……俺は知ってる。


守るべきものがあるなら、人は強くなれると。



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