「ふぅん? 有須や祠稀くんがいれば、何もいらないってことかな」
口の端を上げる大雅の瞳は厭に気味悪く、妖しく光を纏う。
「……有須には手出しさせないから」
「やだなぁ……彗くんは、凪ちゃんがいればいいんだよね?」
有須にばかり気をつけてても意味がないよ。そう、言ってる気がする。そう言ってるんだ、この人は。
「ははっ! 凄い嫌われてるみたいだね、俺。嫌悪感丸出し。……素直だね」
「……」
「分かるよ? 俺もね、君たちが嫌いなんだ。お互いが大事ですって顔して……気色悪い。壊したくなる」
大雅は下にいる有須を見て呟く。その視線にならえば、有須が不安げな顔でこちらを見上げていた。
笑顔で手を振る大雅に有須はいっそう顔を曇らせ、俺は眉を寄せる。
……有須は脅されていたんだ。俺の秘密をバラすと言われて、凪と祠稀も傷付けると言われて。
……泣いたんだろうな。優しいから。誰よりも、優しいから。
純粋で、無垢で、綺麗な心は、どれだけの痛みに傷付いたのか分からない。それは気付けなかった、俺のせい。



