僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……」

「何? 食っていいんだろ?」

「当たり前じゃん。……え? 何?」


なんだか空気がこそばゆいのが、それぞれを見て感じ取れる。にやけてしまいそうになるくらい変で、懐かしい空気に。


「いいから早く! 冷める! いただきますっ」


恥ずかしがった凪がパンッと手を叩くと、俺と祠稀は少し目を合わせ、笑いながら口を開いた。


「んじゃ遠慮なく。いただきまーす」

「ます」


3人そろって食べる、初めての夕食。


やっぱり祠稀は話しやすくて、苦手だとも嫌いだとも思わなかった。


凪が面接をせずに何度かメールしただけで決めたと聞いて、本当は心配だったんだけど……大丈夫そう。


凪は勘がいいし、人を見る目があるのはよく知ってる。


それがどんな人によって育まれたものなのかも。