◆Side:彗
ピピ――――ッ!
放課後にホイッスルの音と、生徒の声が体育館にこだまする。
2階の少ホールから下を見ると、男子バレー部と女子バレー部が練習をしていた。
ヒンヤリと冷たい手すりに頬杖をつきながら、視線の先には有須の姿。
――…昨日、凪が血相変えてずぶ濡れのまま帰ってきた。
オレンジ頭の先輩と遊んでいたはずなのに、どうしたんだろう。と思うより先に、凪は有須の名前を呼んだ。
泣きそうな顔で、震える声で、有須を呼んだ。
大雅先輩の名前が出た時、何かあったんだと気付いて。最近様子がおかしかった有須のごまかし方に、確信した。
大雅先輩が、有須に何かを……。
疑わなかったのは、俺が大雅先輩を嫌いだから。あの張り付いたような笑顔に、不信感を抱いていたから。
だから俺は今、ここにいる。
有須を、守りたくて。



