僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「大雅がなんかしたのか?」


ベランダの手すりに手を置き俯くあたしに、祠稀は問いかけてくる。


「……何か知ってたんじゃないの?」


見ると、祠稀は手すりに背を預けながら煙草に火を付けている最中だった。紫煙がゆらゆらと空に舞う。


「知らね。大雅が、チャラいってことぐらいしか」

「……チャラいんだ。……彗は、何か知ってるの?」


フーッと紫煙を吐き出す祠稀は、誰もいないリビングを真っ直ぐ見たまま。


「知らねぇよ、何も。大雅が嫌な奴だってのは、本能で分かってるっぽいけど」

「……そう」

「で? 凪は何を知ったわけ?」


横目であたしを見る祠稀から、夜景に視線を変えた。


「大雅先輩、有須を自分のモノにしたがってるって。あたしたちを傷付けるって脅してまで手に入れようとしてる。……きっともう、有須は脅されてるよ」


それなのに、有須はなんでもないって言う。彗も祠稀も、なんでそんなに平然としていられるのか、あたしには分かんない……。


再び俯き始めた頭に、大きな手が乗せられた。