「大雅先輩に、何か言われたよね」
「……!」
目を見開いた有須は、青ざめる顔を隠すように俯く。
「……何かって、何?」
「なんでもないのっ!」
声を張り上げて彗の質問を遮る有須に、あたしはそれでも問いかける。
「有須……なんでもなくないよ」
「ほ、本当になんでもないの! ただ、ちょっと……大雅先輩と揉めちゃって……みんなのこと……みんなに、ヤキモチ?みたいな感じで」
ははっ、と乾いた笑いをする有須に詰め寄ろうとしたあたしの肩が、後ろに引かれる。
「……彗…?」
彗はもう喋らないでと言うようにあたしを見てから、有須に視線を移した。
「……本当になんでもないの?」
「うん、ちょっと喧嘩しちゃって……ごめんね凪。遊志先輩に聞いて、心配してくれたんだよね?」
……喧嘩じゃないでしょ? だって、遊志は……。
「……分かった。また揉めたら言ってね。風呂お願い。夕飯は俺がやるから」
「うん、次は……言う。ごめんね! お風呂入れてくるねっ」
有須が風呂場に向かうと、彗はあたしの頬を抓ってからキッチンへ向かった。



