僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「有須っ!」


マンションまで全速力で走り、その勢いのまま玄関からリビングへのドアを開けた。


「わっ! どうしたの凪! びしょ濡れだよ!?」


真っ先に目に入ったのは、ダイニングテーブルに夕飯を並べてる有須だった。


いつもと変わらない姿に、びしょ濡れのあたしを心配する姿に、涙腺が緩みそうになるのを堪えた。


「凪……どうしたの」


いつの間にか彗がタオルを持ってきて、あたしの頭を拭き始める。


「……」


いつもと何も変わらない光景に戸惑っていると、メールを送ってきた祠稀と目が合った。


「お帰り」

「た、だいま……」

「凪っ、先にお風呂に入ったほうがいいよ! 風邪引いちゃう! 今、準備してくるか……ら…」


風呂場に向かおうとした有須の肩を掴んだ手が、震えている。


「……凪? どうしたの?」


心配そうにあたしの顔を覗く有須。あたしは重い口を開いた。