「なんで黙ってたのよ!!」
「……好きやから……大雅から守りたかっただけやねん」
「……っ」
ギュッと唇を噛んでカバンを持つと、遊志に手首を掴まれる。
「凪が気付いたって分かったら、大雅は何するか分からへん! 危ないねん!」
「知らないフリしろって? あたしだけ安全でいろって言うの? ふざけんな!」
「アカンて……っ凪!!」
遊志の手を払い除けて、カラオケ店を飛び出した。
遊志を責めるなんて、きっと間違ってる。だけど遊志の優しさに、感謝なんてできなかった。
本当に好かれていたことに、嬉しさを感じる暇すらない。
まさか大雅先輩が……信じられない。危ない人だなんて実感が湧かない。
有須はもう、脅されてた?
祠稀は何かに、気付いてた?
彗は、何もされてない?
不安で、不安で、泣きたくなる。
雨が降る空の下を、あたしは無我夢中で走った。



