「かわいい有須が、欲しいから」
それだけ言って立ち去る大雅先輩の背中を見えなくなるまで見つめると、あたしはゆっくり視線を逸らし、ずるずると地面に座った。
「……どうして?」
大雅先輩のモノにならなければ、大事な人たちが傷付けられる。
だけど、あんな人のモノになんかなりたくない。
どうして、こんなことになるの?
あたしは、幸福を手に入れたのに。手に入れた、はずなのに。やっぱりそんなものは、幻だったんだ。
必死に、必死に、それこそ血の滲むような努力をして、あたしはここにいるのに。
それすら無駄だったの?
それとも今のあたしが、偽物だからなの?



