僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「……大雅先輩?」


何……?
なんか……怖い。


目の前にいる人は大雅先輩であることに間違いないのに、別人に見えるのは、どうして?


「ほんと鈍いね、有須」


1歩、また1歩近付いてきた大雅先輩に、思わず後退る。


「お願いしてるんじゃないよ?」


背中に何かがぶつかって、部室のドアまで後ずさったことに気付いた。



「俺のモノになれって言ってるの」


口の端を上げる大雅先輩から、目を逸らせない。


「言ってる意味、分かる?」

「……大雅……先輩?」


目の前まで詰め寄った大雅先輩を見上げると、志帆先輩と同じ不気味な笑顔を見せられた。


「……断ったら誰が傷付くか……分かるよね?」


――違和感の理由が分かった。


大雅先輩は見透かしてたんじゃない。最初から全部、知ってたんだ……。