僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「はぁ……」


部室を出て鍵を閉めながら溜め息をついた時、不意に名前を呼ばれた。


「あ、やっぱり。まだ残ってたんだ」

「……大雅先輩」


振り向くと、立っていたのは制服姿の大雅先輩。笑みを乗せた表情に、少し安心した。


「今、帰るところです」

「そ? あ、鍵。俺返しとくよ」

「え? あっ、いえ! 大丈夫ですっ」

「いいから。俺も返しに行くから、ついでだし」


そう言って男子バレーの部室の鍵を振って笑う大雅先輩に、断るのも悪いかと思った。


「じゃあ、あの……お言葉に甘えて」

「また断われたらどうしようかと思った」


大雅先輩はあたしの手にある鍵を取って笑う。


少しだけ微笑み返し、じゃあ…と言う前に大雅先輩が先に口を開いた。


「どうしたの? 頬」

「……え?」


問い掛けられてすぐに気付き、ぱっと頬を押さえる。


志帆先輩に叩かれたんだった……。