「出さないよぉ? アンタが大雅先輩にちょっかい出さなきゃね?」
「志帆アンタ、黒すぎ」
そう言いながら少し笑う先輩たちに、苦しくなる。
やめて。やめてよ。どうして凪まで巻き込むの?
「早く大雅先輩から離れないと、どうなるか分かってんでしょ? 凪って奴も、痛い目合わせるからね」
何度目か分からない衝撃を頭に受けて、志帆先輩は他の先輩たちと一緒に「また明日ね〜」と笑いながら部室を出て行った。
誰もいなくなった部室で、ずるずるとロッカーを背に座り込む。
……嫌だ、こんなのは。
あたしのせいで凪が傷付くなんて、絶対に嫌。
でも大雅先輩を無視するなんて、あたしにできる? 部活の先輩なのに、関わらないようするなんて……。
できそうにない。
でも、関わったら、凪が……。
「……っ……」
どうしよう。
泣いちゃダメ。
きっともう、祠稀が体育館の前で待ってる。泣くことなんてない。今日、いっぱい考えよう。
どうすることが最善か、考えなきゃ。



