僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ



「大雅先輩に近付くなって言ってんのよ!!」


……ああ、そっか。そういうことだったんだ。


志帆先輩は大雅先輩が好きで、あたしが、邪魔なのか……。なんて言おう……。


「……あたしは、大雅先輩とは何もないです」

「あってたまるかよっ!」


バッと掴まれていた胸ぐらを離され、力の強さに足がふらついたけど、なんとか踏みとどまった。


「その気がないくせに色目使うなっつーの!」


……色目なんて使えないし、使い方だって分からないのに。


あたしは囲まれているこの状況で、頭はひどく冷静だった。怖くないわけじゃない。ただ、慣れているから。


囲まれて、一方的な悪意を受けることに慣れてしまっただけだ。